令和3年改正の電子帳簿保存法のよくある誤解、勘違いまとめ18選(一問一答形式)|ブログ|SATSAVE(サットセーブ)

Vol.06

『令和3年改正の電子帳簿保存法のよくある誤解、勘違いまとめ18選(一問一答形式)』

2022.02.17

はじめに

令和3年(2021年)に改正され、令和4年(2022年)1月1日から施行された「電子帳簿保存法」は、なかなかに難解な法律です。
多くの方が誤解されていたり、勘違いされており、予定通り2022年1月1日から施行されたのですが、一部宥恕措置により、実質2年間の猶予期間ができました。
お問い合わせのあった内容を元に、よくある誤解、勘違いについて、国税庁の一問一答とはちょっと違う切り口ですが、一問一答形式でまとめてみます。

  • わたしは個人事業主なので関係ないですよね?

    いいえ、すべての事業者に関係があります。
    青色申告者はもちろん、白色申告者についても対象です。

  • e-Tax(電子申告)と、電子帳簿って同じもの?

    いいえ、違います。
    e-Taxは、確定申告、青色申告を行う場合の手段です。
    電子帳簿は、「国税関係帳簿」を会計ソフトなどを使って作成したものです。

  • そもそも電子帳簿って何?

    電子帳簿保存法は、平成10年(1998年)に成立した法律です。10回以上改正され、最近は毎年改正されています。
     1.電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係
     2.スキャナ保存関係
     3.電子取引関係
    と、大きく3つに分かれており、その内容がまとめて1つの法律に書かれています。

    一般的に電子帳簿と言えば、会計ソフトを使った帳簿作成の事です。
    具体的には、「国税関係帳簿」である、仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳などの、全部、もしくは、一部を会計ソフトを利用して作成し、印刷しなくても良いという法律です。

    スキャナ保存と、電子取引に関しては、「国税関係書類」について、電子データで保存する場合の法律です。
    これら2つは帳簿以外の書類なのに「電子帳簿保存法」という法律の名前なのが、誤解、勘違いを生んでいるように思います。

  • 電子取引って、インターネットで購入した場合の事だよね?

    いいえ、違います。
    「電子取引」とは取引の手段の事ではなく、「取引情報」を電子データでやり取りする事をいいます。
    取引情報というのは、見積書、注文書、請求書、領収書などのことです。
     Column.01 『電子帳簿保存法で保存しないといけない帳票の種類とは
    にまとめています。
    これらの書類をPDF形式などでメールで送ったり、ホームページからダウンロードしたりする場合が、「電子取引」に該当します。要は、紙の書類が無く、電子データだけでやり取りした場合です。
    どうやって購入したかや、取引の内容、手段とは関係ありません。
    この「電子取引」という言葉も、誤解されやすい一因だと思います。

  • 税務署に申請が必要なのですよね?

    いいえ、令和4年(2022年)1月1日以降については、必要なくなりました。
     2.スキャナ保存関係
     3.電子取引関係
    この2つについては、2022年1月1日以降に受け取った、もしくは送付した書類については、申請不要で電子データでの保管が可能となりました。

     1.電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係
    こちらについては、2022年1月1日以降、いつでも、申請不要で始められます。
    ただし、課税期間(個人事業主は、1月1日~12月31日)の途中から適用することはできません。

  • 今すぐ対応しないと罰せられるの?

    いいえ、猶予期間(正確には宥恕措置)が設けられ、2024年1月1日以降の電子取引を行った電子データについては、電子データでの保存が必要となります。
    それまでの間は、これまで通りで問題ありませんし、そもそも帳簿の電子化と、スキャナ保存は、義務ではありません。

    2024年1月1日以降については、電子データとして要件に従い保存していない場合には、経費として認められず追徴課税となったり、悪質な場合には青色申告取り消しなどのペナルティがあります。

  • 紙での保存は禁止されたの?

    いいえ、紙で受け取ったもの、送ったものは、紙で保存するのが原則です。
    スキャナ保存の要件に従って電子データにして保存する事で、紙を破棄することが可能となっています。

    一方、紙が存在しない電子取引については、電子データでの保存が義務化されました。(猶予期間あり)
    しかし、電子データとして保存したうえで、さらに追加で印刷して保存する事が禁止されているわけではありません。
    猶予期間はありますが、禁止されたのは、
    ・電子データで授受をを行った場合、印刷した紙だけを保存し、電子データを保存しない事が禁止
    となります。

  • 紙も含めて、すべての書類を電子データで保存しないといけないの?

    いいえ、電子取引で受け取った対象書類と、電子データで送付した対象書類のみです。
    紙で受け取ったり、送付した書類については、これまで通りで紙で保存して問題ありません。

    令和3年(2021年)に改正され、令和4年(2022年)1月1日から施行された法律で義務となったのは、「電子取引」に関するもののみです。
    それ以外については、条件、要件が緩和されていますが、新たに何か変えないといけない事項はありません。

  • とにかく、パソコンに電子データで保存しておけば良いのですよね?

    いいえ、保存要件、検索要件に則り保存する必要があります。
    単純に、パソコンでデータを保管しておけば良いものではありません。
    以下の対応も、要件を満たしていないため、NGです。
    ・【NG例①】メールを全部保存しているし、検索すれば見つけられる
    ・【NG例②】Amazonや楽天にログインすれば、注文履歴で保存されている

    詳しくは、
     ブログ Vol.01 『電子帳簿保存法改正に対応するシステムの選び方
     ブログ Vol.02 『電会社規模やシステム化の状況で考える電子帳簿保存法対応
     ブログ Vol.03 『動画で見る「電子帳簿保存法改正」をわかりやすく解説(15分)
    を参照してください。

  • タイムスタンプが必須なのですよね?

    いいえ、タイムスタンプは必須ではありません。
    令和4年(2022年)1月1日以降は、以下の4つの、いずれかの方法で、保存要件を満たせます。

     次のいずれかの措置を行う

     タイムスタンプが付された後の授受
     速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
    ※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。
     データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
     訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

    三は、タイムスタンプを使わずに、システムで訂正削除を行っていない事を担保する方法です。
    ※当社の、「SATSAVE」はこの方法です。
    四は、システムを使わない方法です。

    書類の種別や、取引先ごとに、複数の方法を組み合わせても構いません。

    詳しくは、
     ブログ Vol.01 『電子帳簿保存法改正に対応するシステムの選び方
    を参照してください。

  • ブラウザや、メールソフトの表示を印刷してからスキャンしたものを保存しても大丈夫?

    いいえ、例えば以下のいずれかの方法で保存してください。
    ・スクリーンショットにより、画像で保存
    ・印刷機能や、変換機能を使って、PDF形式にして保存

    PDF形式であれば、タイムスタンプを埋め込むことができるので利便性が高いです。

  • メールで請求書を受け取った場合、メール本文ごと保存が必要なの?

    いいえ、通常は添付のPDFだけで構いません。
    詳しくは、
     Column.02 『添付のPDFだけでなくメール本文も保存するのか?
    を参照してください。

  • ECサイト(Amazonや楽天など)で購入した時の取引先は、ECサイトで良いのですよね?

    いいえ、違います。
    ECサイトが直接販売する場合もありますが、多くは実際に販売を行った業者や店舗が取引先となります。
    領収書や支払い明細を確認いただき、記載されている発行者や、店舗情報を確認してください。

  • 社員が立て替えて購入したものは、取引先は社員になるの?

    いいえ、立替精算の場合は、社員が購入した業者や店舗が取引先となります
    社員がECサイトなどで購入した際に、領収書や支払い明細が電子データのみの場合は電子取引に該当しますので、電子データを保存する必要があります。
    クレジットカードやキャッシュレス決済で購入した場合は、利用明細で取引日、取引先、取引金額がわかりますので、利用明細のPDFやスクリーンショットが証憑となります。
    ただし、利用明細だけでは購入内容がわからない場合は、購入内容がわかる証憑を合わせて保存してください。
    その場合に、電子データと紙が混在する場合は統一する必要はなく、それぞれで保存してかまいません。

  • 受け取った見積書は、最終的に発注したものだけ残せば良いのですよね?

    いいえ、価格交渉や条件変更で変更となった場合でも、正式に見積書として受け取ったものは、すべて保存する必要があります。
    発注した取引先以外からの、相見積についても保存する必要があります。

    これは、電子取引になったために追加で保存が必要になったわけでは無く、従来から紙で受け通った場合も同じです。
    これまで通り、保存必要なものを保存してください。

  • システム導入を行う場合、すべての書類を1つのシステムに統一する必要がありますよね?

    いいえ、書類の種類ごとや、取引先ごとに、複数にシステムに分かれていても問題ありません。
    ・受け取った請求書や領収書は、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトに保存。
    ・請求書は専用システムで作成し、専用システム内に保存。
    ・それ以外の見積書や納品書、インターネットバンキングの明細などは、別の保存特化型のクラウドシステムに保存。
    ・特定の取引先との頻繁に購入する備消品、仕入品は、EDIシステムを利用して対応。
    といった、業務に合わせた使い分けを行うのが効率的です。

  • とにかく、大変だ! 業務負荷が増える!

    いいえ、保存しないといけない証憑が増えたわけではありません。
    保存義務の対象となる書類も、保存期間も変更はありません。

    もし、現状において証憑の保存が漏れているようであれば、これを機会に残していきましょう。
    電子化すれば、検索や分析もしやすくなって、業務改善や、経営分析にも繋がると思います。

  • でも、システム導入って、お高いんでしょ?

    いいえ、無料で使い続けられるものもあります。
    当社がリリースする「SATSAVE(サットセーブ)」がその1つです。
    詳しくは、
     ブログ Vol.04 『すぐに無料で使える保存特化型の電子帳簿システム3選
    を参照してください。

まとめ

さて、いくつ誤解や、勘違いがあったでしょうか?
全部正しく理解していた方は、そうとう勉強されていますね。
テスト(○×クイズ形式)に出ますので、間違ったところは復習しておきましょう。
※注:テストはありませんQuizGenerator で作りました。テストはこちら ※:このページ、 龍野情報システムの 西村社長のTwitterでも紹介いただきました。

時間が無い方のため、Column.05 『1分でわかる令和3年電帳法の改正、重要ポイント3つ+おまけに、もっと簡単にまとめてみました。
わかりやすくまとめていますので、こちらもご参照ください。(2022.02.22更新 1枚でわかる重要ポイントの図を追加)

電子帳簿保存法対応といっても、電子帳簿の事なのか、スキャナ保存の事なのか、電子取引の電子データ保存の事なのか、なかなか情報も見つけにくく、非常に混乱している方が多いように見受けられます。
法律施行前のどたんばで宥恕措置(2年の猶予期間)となったのも納得の状況です。

「SATSAVE」は、電子取引の電子データ保存に特化したシステムです。無料プランから使い始めることができますので、使ってみながら、電子帳簿保存法について理解を深めていってはいかがでしょうか。