Column.07

『太陽光発電を行っている方へのインボイス制度の影響(資源エネルギー庁からのハガキ)』

2023.02.14更新(2023.02.02)

資源エネルギー庁からのハガキ

※2023/2/10の財務金融委員会の答弁に合わせて追記しています。(2023.02.10追記)
※一般家庭の電気代への影響について補足を追記しています。(2023.02.14追記)
1月末ぐらいから、太陽光発電で売電を行っている方(FIT認定事業者)に資源エネルギー庁からのはがきが届いています。
50万件の事業者やご家庭に送られたようです。120万件以上送る予定でしたが、現在は見直しのため止まっているようです。(2023.02.10追記)
大きく、
・インボイス制度の登録準備はもうお済ですか?
と書かれており、登録を促すような内容です。

ここで、大きな注意点があります。
赤字でも書かれていますが、対象は、(消費税の)課税事業者です。
(消費税の)免税事業者に向けた案内ではありません。

サラリーマンなどの給与所得者の一般家庭で、太陽光発電の売電収入が唯一の副収入のような方は免税事業者です。
自営業や個人事業主で、年間の売上(収入)が1,000万円を超えている場合や、申請により課税事業者を選択している場合が課税事業者です。会社等の法人で太陽光発電による売電収入がある場合もほぼ課税事業者です。

あくまでも課税事業者に向けた案内ですので、免税事業者にインボイス制度の登録を促す内容ではありません。ご安心ください。
『自分もインボイス制度に登録しないといけないの?』と勘違いされている方が多くおられるようです。そんなことはありません。

2023/2/10の財務金融委員会の答弁にて、財務省から一般家庭の余剰電力については消費税はかからないことが明言されました。
この点は、以前からの国税庁HPに記載の 会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却 の通りですね。(2023.02.10追記)

詳しい案内は、資源エネルギー庁のホームページにも掲載されていますので、
インボイス制度関連|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー
こちらも参照ください。
このページも、財務金融委員会の答弁に合わせて、2023/2/10に更新され以下の文章が追記されています。

※消費税を申告・納付していない方(免税事業者)は、インボイス制度に関する対応は不要です。インボイスの登録がなくとも、現行の買取価格が変更されることはありません。

その他、新たにFIT認定を受ける場合においても免税事業者がインボイス発行事業者に登録する必要のないことが追記されています。(2023.02.10追記)

一方で、課税事業者の個人事業主や、会社(法人)の場合は、インボイス(適格請求書)発行事業者に登録することになります。
該当する多くの方はすでに登録されていると思います。
2022年12月6日に開催された、
総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第47回)
にて、FITの認定を受けた方に対して「インボイス登録に向けた周知徹底」のために行う施策として、資源エネルギー庁が行うことになったことからハガキが送られたようです。
ここの資料3 インボイス制度の導入に伴うFIT制度運用上の対応についてに記載されているように、インボイス発行事業者に登録いただかないと買取義務者(電力会社)の消費税納税額が増え、最終的には電気代への価格転嫁に繋がります。
非常に重要な取り組みではありますが、ハガキの内容がお粗末だったのか、混乱を招いてしまったようですね。
一部で誤解が広まっているようですので、補足します。(2023.02.14追記)
一般家庭の消費税分について、買取義務者(電力会社)の消費税納税額が増えることにより、電気代が増えることを懸念されている方が居られます。
家庭用の売電買取金額は年間でおよそ3,000億円です。そこに含まれる消費税額は約270億円となります。
電気代のうち家庭で消費される電力は約1/3ですので、約90億円が電気代の増に転嫁される可能性があります。
世帯数が約5,000万世帯ですので、1世帯平均だと年間約180円となります。
約180円が大きいか、小さいかは議論があるところだと思いますが、事業として行っている太陽光発電の買取総額は10倍近くありますので、資源エネルギー庁の取り組みは、この事業用の対象者に向けての取り組みだという事がわかります。